日本では2024年から 経鼻生ワクチン(フルミスト®点鼻液) の導入が始まっており、適応範囲や投与方法の違いにより、患者さんの状況や希望に応じて柔軟に選択できる時代になりました。日本小児科学会は、2〜19歳未満に対して、不活化ワクチンと経鼻生ワクチンを 同等に評価しております。ただし、不安定な喘息状態にある方や周囲に免疫不全の方がいる場合は、不活化ワクチンが推奨されています。以下に両者の違いと注意点をまとめてみました。
• 接種法
体に浸させたウイルス(不活化)を注射します。日本でもっとも一般的に使用されるタイプです。
• 免疫の仕組み
全身(血液内)でIgG抗体がつくられ、重症化予防に高い効果がありますが、粘膜免疫(IgA)については働きません。
• メリットと安全性
広く普及しており、免疫不全の方や妊婦・高齢者にも適用が可能で、安全性が高く安定しています。
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• 承認状況
日本では2023年3月27日に製造販売が承認され、2024–2025シーズンより接種が開始されています 。
• 対象年齢
2歳から19歳未満が対象です。
• 接種法
鼻にスプレーで投与するため、注射針不要。痛みがなく、小児にとって心理的・身体的負担が
少ないです 。
• 免疫の仕組み
鼻の粘膜(IgA)と全身(IgG・細胞性免疫)に対し免疫が働き、自然感染に近い免疫応答が
期待されます 。
• 接種回数
通常は年1回、片方の鼻に0.1 mLずつスプレーします 。
・ 小児科学会はフルミストの接種不適当者(接種を避けるべき対象)として
以下に示しております。
• 生後6か月~2歳未満
• 19歳以上
• 明らかな発熱のある方
• 重い急性疾患にかかっている方
• 免疫機能に異常のある方や免疫抑制治療中の方
• 免疫抑制状態の方と接触する方
• 妊婦または妊娠の可能性のある方
• 授乳中の方
• 重度の卵アレルギーやゼラチンアレルギーのある方
• ミトコンドリア脳筋症患者
• 無脾症患者
• 中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある方
• アスピリン(サリチル酸系薬剤)を服用中の方
(特に川崎病既往などで継続服用している場合)
・ その他「接種要注意者」(接種できる場合もあるが慎重な判断が必要なケース)
として以下に示したおります。
・ 不安定な喘息症のある方 (症状が不安定な場合は、不活化ワクチンを推奨)
・ 鶏由来アレルギー(鶏卵、鶏肉等)がある方 — 卵アレルギー単独の場合は
安全に接種されることが多いのですが、重度の卵アレルギーの場合には
注射ワクチンへの変更が望ましいとされています。
・ 授乳婦、周囲に免疫不全者がいる方 — 水平伝播の可能性があるため、
不活化ワクチンが勧められます。
・副反応
• 接種後 2~8 日後に鼻閉・鼻汁・咳・喉の痛みなどの症状が約 6 割の方に出現します。
自然に軽快しますが、この時期に抗原検査を行うと陽性になることがあります。
• 重い全身症状を引き起こすことは、非常に稀とされています。
• フルミストの接種によって気管支喘息発作が起きるかどうかについては、国や機関によっ
て見解が異なっています。重症の気管支喘息がある方、 最近発作があった方を接種禁忌と
している国もあれば、関連なしとして接種している国もあります。
• 日本の添付文書には 「重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する者」では注意するよ
うに記載されていますが、定期薬などでしっかりと発作が予防されていて、接種時に症状
がない方へのの接種については特に記載がありません。
• 日本において、フルミスト経鼻ワクチンは、昨年に始まったばかりで、現時点では、喘息との
関わりについては情報が不足していると考えております。当医院では、たくさんの喘息患者を治療
しております。情報が充分に集積され確実に安全と確認されましたら経鼻ワクチン接種を行いたい
と思います。
・以上から、今季のインフルエンザ予約接種は、不活化ワクチンの注射に限らせていただきます。