小児科はやしクリニック

新潟県上越市春日野の小児科、アレルギー科の小児科はやしクリニック

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わたくしの考え

学校医としてのやりがい

医師の仕事は診療ですが、診察室の外に出て、地域の保健事業に携わる機会も少なくありません。私は小児科医なので母子保健の仕事をしています。乳幼児健診や育児相談を通して、子育ての見守り役をしています。
就学した子供とは学校医の立場で係わっています。仕事の内容は、生徒の健康管理と保健組織活動への参加です。私は開業時から近くの小学校を担当しています。最初は、生徒数が多くて健康診断で精一杯でしたが、学校に赴くたびに、学校保健委員会が必要だと思う様になりました。担当6年目に養護の先生と相談して、皆様のご協力を得て委員会を発足いたしました。

学校医としてのやりがい

その頃、成人病と言われていた心臓病、糖尿病や脳卒中は生活習慣病という概念に統一されました。しかも、病気の素地は小児期の生活習慣にあると考えられていましたので、委員会の主たるテーマは小児の生活習慣に決定しました。
委員会は生徒や保護者、先生方、地域の人々と学校歯科医、学校医で構成されています。1年に1度の開催、議題は毎年変わります。これまで、就寝時間等の生活リズムの乱れ、朝食欠食や好き嫌い等の食生活の問題、ゲームやTV鑑賞など遊びのこと、それに係わる運動不足の実態など、概ね身近な事から問題が提起され、その解決に向けて活発な討議がなされています。
子供の生活は、親の生活習慣に左右されます。共働き世帯の増加や生活の夜間へのシフトなど難しい問題が背景にあります。親子で考え、知恵をしぼりながら、改善策を考えて、少しずつ可能なことから実行しています。
学校に赴くと、患者だった子が皆たくましくなっています。今度は私が子供から元気をもらっています。

親子でかんがえる食と生活習慣

1月末に、健康について考える2つの会にでてきました。
1つは、上越市健康づくり推進協議会です。これは、国の健康日本21計画
と健康増進法に基づき、市民の健康づくりについて総合的に協議する会です。
具体的には、様々な分野から選出された委員が、市の示した健康づくりの方向性と今後の事業計画について、意見を述べ、承認をするものです。このなかで、最近は、脳卒中が減少したものの、糖尿病が増える傾向が指摘されました。

親子でかんがえる食と生活習慣

詳しくみると、青年壮年期から肥満や血糖値の高値など糖尿病発病の素地がみられます。これに中年期の脂質代謝異常が加わって、動脈硬化をきたすことになります。すなわち、青年期、もっとさかのぼれば少年期の食習慣、生活習慣の問題が、将来の生活習慣病と係わると考えられます。
これらを踏まえ、上越市では、小児期から老年期までの各ライフステージを考慮した健康づくりを進めていくことになりました。
前後しますが、協議会の1週間前に、私が学校医をしている小学校で学校保健委員会が開催されました。これは小学生、保護者、保健の専門職、学校職員と学校医で構成され、生徒の健康について考えていく会です。テーマの豊富な会でしたが、ここでも肥満について話題になりました。これには、外遊びが少なくなって、テレビやゲームの時間が多くて運動不足になっていることや、食事やおやつの問題が関連しているのではないかという意見がでました。
こどもの生活は、大人の生活習慣の影響下にあります。例えば、かたよった食事や生活リズムの乱れなどは家族全体の健康に影をおとすかも知れません。
最後に、「親子一緒になって、生活のスタイルや食事について考えていこう」、「休日ぐらいは親子一緒に運動や外遊びをしよう」という前向きな提案がなされました。
1つは市の大人だけの会議、もう1つは学校での子ども達との話し合いでしたが、共通点があったと考えます。「病気になってからでは、大変です」、「こどもの時からのしっかりとした生活習慣が病気の予防につながります」、「親の生活や食習慣が子に影響します」の3点にまとめられるのではないでしょうか。

小児科医の意見と決意

日本では、一般的に、小児科受診年齢は中学生までとなっておりますが、これは単にこれまでの習慣にすぎません。欧米をはじめとして近隣の東南アジア諸国でも「成人するまでは小児科」となってきてます。
身体的、精神的にいまだ成長、発達の過程にある思春期の青少年が成人するまでは、生まれた時から見守ってきた小児科医が継続的に診るのはごく自然なことで、また、必要なことでもあります。
成育医療の観点から、私ども小児科医は成人するまでしっかり見届け、その後、成人の各専門分野に紹介したいと思います。
(日本小児科学会)

小児科医の意見と決意

タバコは害です

タバコをすっている人の発ガンについては、ご存知でしょう。でもタバコをすっている親のこどもにも害が及んでいることをごぞんじですか?親のタバコの煙が知らず知らず、こどもに悪影響を及ぼしてます。喘息や鼻炎、気管支炎をおこしやすくなります。また、タバコのニコチン成分はこどもの計算能力、読解力もおとすと言われてます。喫煙はこどもの脳にも影響します。
外国の最近のデータでは、親が喫煙している場合、その子供の尿中には、ニコチンの代謝産物のコニチンが、非喫煙の親の子供の5倍以上であることがわかっております。さらに、母がスモーカーの場合、父がスモーカーの場合に比べて、尿中コニチン量は2倍だそうです。タバコの煙の吸引のみならず、衣服にしみこんだニコチンがこどもの体内に入り込んでいる可能性を示唆したものです。

タバコは害です

また、こどもの誤飲の事故で多いのはタバコです。タバコ1/2本を食べると命にかかわることがあります。タバコのやけども少なくありません。勘違いしているかたが多いのですが、換気扇のしたで吸ってれば大丈夫と思っていると大変です。煙は一瞬のうちに家中に拡大します。家族を危険に巻き込むことになります。ご注意を。

生育基本法の成立を受けて

平成30年12月に、成育基本法が成立しました。この法律は、すべての妊婦・子どもに妊娠期から成人期までの切れ目のない支援体制を保障すること、子どもの健全な育成は、国や市町村のみならず、関係機関にも責務があることを明記しています。子どもとその保護者の支援のための、教育、医療、福祉分野の連携が不可欠であると述べております。
成育基本法の成立を受けて、日本医師会は、
(1)保護者や妊産婦の社会からの孤立を防ぐため、健診や相談支援を通じて虐待の予防や早期発見の促進する。
(2)科学的知見に基づく愛着形成に関する知識や食育を含めた心身の健康に関する教育の普及啓発を行なう。
(3)予防接種や健診に関する記録のデータベースを整備する。
(4)子どもが死亡した場合における死因の検証等の体制整備が求められると述べております。

生育基本法の成立を受けて

具体的には、将来を担う子どもたちの健やかな成長を社会全体で支援することが少子化対策を強化するものであり、本法の制定はその大きな一歩であるとし、今後も医師会は関係機関と連携し、実効性のある施策を講ずる考えを示しました。
なお、今後は、上越医師会においても、現在の子どもとその保護者が抱える様々な問題に向き合っていく必要性があるものと考えております。育児不安、虐待、子どもの貧困、発達障害、乳幼児の健康管理等々、数え切れないほどの課題があげられます。これらの問題解決には、医師のみでは対処できないことは明白です。各種の行政機関、保育の場、教育の場、NPO法人などと連携し、医師会として、何ができるか模索すべき時期がきたと考えております。小児保健部の力量では、できることに限りがあります。成育医療に精通された方またこれらに関心のある方のご協力に期待したいと思っております。